第4話「中小管理会社の相続ビジネス入門」

rent

第4話

 資産承継部を立ち上げ、早3カ月が過ぎようとしている。お客様の相談に乗れるようになってくるにつれ、生前相談の難しさを痛いほど身に染みているが、その分、やりがいもある。
 先日、お客様と世間話をしている際、こんなことを聞かれた。「近所のご家族が財産分けでかなり揉めてるらしくてね。特に兄弟同士の仲が本当に悪くて、断絶状態みたいなんだよ。お客様で揉めてる人っている?」「相当います。当然、揉め方の度合いがありますが。弁護士を入れて裁判をやっている方から、財産分けで単なる腹の探り合いまでさまざまなケースがあります」。家庭裁判所のホームページにも、遺産分割事件が年々増加しているデータもあり、本当に身近な問題になりつつあるような気がしている。
 では、どうしたら争続にならないようになるのだろうか。真剣に考えてみた。まずは、「父親主体の話し合い」これが最も大事だと思う。自分の財産を誰に渡すかは父親が決めていいと思うし、決めたことを子どもに宣言できていれば、もしかしたら遺言も必要ないのかもしれない。遺言は決めたことを念のために法的に担保するものであって、遺言を書いたから揉めないなんてことはないと思う。だって、遺留分という制度があるから。決めて宣言したことと違う内容の遺言が出てきたらきっと揉めると思うが、そうでなければ、父親の意向をくむ子どもが多いのではないだろうか。念には念を入れる意味で、自筆証書遺言ではなく公正証書遺言にすることはありだと思う。また、最近流行の民事信託ってのを調べてみたが、弾力的な使用方法があるということは分かった。「遺言の代わりに民事信託を使う(遺言代用信託)」「先の先まで継がせる者を決める(受益者連続型信託)」などは資産を承継するツールとして効果を発揮しそうだというのは分かった。他にも認知症対策としての効果がありそうであるが、頭がパンクしてしまうので、まずは遺言と民事信託をどう使うかを研究してみようと思う。でも、これらはあくまでツールでしかない。大事なのはやはり「気持ち」であると確認した石川部長であった。

登場する人物、団体は全て架空です。 (毎月第二週に掲載します。)

ツールに頼る前に気持ちを宣言しよう!

解説

遺言や民事信託などのツールが先行してしまっているように感じるが、大事なのは気持ちを伝えることです。「なぜ後から教えるの?先に一言言っておいてくれれば腹の気が収まるのに・・・」こんなことは誰でも分かっていますが、これが一番大事なように感じます。ほんの少しの気づかいです。