第2話「中小管理会社の相続ビジネス入門」

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第2話

資産管理部を1人で起ち上げて四苦八苦している最中、オーナーから「相続の話を聞いてくれないか」と一本の電話が入った。しかし相続についてほとんど無知。インターネットで調べたものの、具体的な相談となるとお手上げ状態だ。そんな中ついに訪問日が来てしまった…。
 「話を聞くくらいはできる!」と割り切って呼び鈴を鳴らし、現在の管理状況について淡々と報告をした。しばらく雑談が続いた後・・・。オーナー自ら相続について口を開いた。「物件を管理してもらっているから、うちの資産状況はご存知だろ。一体いくら相続税がかかるか把握しているかい。」(やった!)インターネットで事前に調べた相続税早見表を取り出し、不動産の概算額と借入金の金額を元に一次相続、二次相続を合わせた相続税額をその場で出せた!するとオーナーは「こんなに簡単に出せるのか。おおむねの金額が知りたかったから本当に助かるよ。」「いいえ、この程度のことであれば、全く問題ありません。もう少し詳しいケイさんが必要であれば名寄帳をいただけると路線価を調べて計算してみます。」と伝えた(本当はこちらも詳しくないので、これから調べよう)。
 続いてオーナーから「うちには次の世代に息子が1人、娘が1人いるが、どうやって分けたらいいか悩んでいてね」。「息子さんと娘さんへのもめない財産承継方法として、遺言を作成された方がよいのでは」、とも伝えることができた!「確かに遺言を書いた方がいいというのは周りからいわれている。でもメリットもあればデメリットもあるだろ。だから、なかなか踏ん切りがつかなくてね」。「次回までにメリット・デメリットをお伝えします。最近、相続の相談が多くてこちらも準備を進めているところです」と伝えてみた。本当はこれから調べるのであるが、オーナーのニーズがどこにあるのかは把握ができた。
 ほんの少しの努力で、管理以外でもオーナーとも会話が十分に成立することに自信がついたが、事前に相続の知識がなかったらと思うと、ぞっとする。少しずつでもいいのでオーナーの相談に乗れるようにすることが管理継続の鍵になると実感した石川部長であった。

登場する人物、団体は全て架空です。(毎月第2週に掲載します。)

相続対応力が管理を守る

解説

賃貸管理会社にとって、入居者の募集や日常管理と並んで相続対応が重要になっています。ある会社では、1年間で管理を受任しているオーナーの4%で相続が発生しているそうです。引き継いだオーナーが管理を続けて任せてくれる可能性は、どれほどでしょうか?
M&Aも増えてきて、管理受託競争は激しくなるばかりですが攻めの前にまずは守りをしっかり固める必要もありそうです。