第11話「中小管理会社の相続ビジネス入門」

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第11話

 相続の知識が一通り身につき、自信を持ち始めた石川部長。だが最近、オーナーから相談されてびくっとするテーマがある。「不動産の法人化」だ。ネットで検索すると「個人所有の不動産を法人が所有する形」と書いてある。しかし、実務で実効する際に大事なことは載っていない。結局、相続専門の頼れる税理士、大下先生に聞くことになってしまう。石川部長「不動産の法人化って実務でやるとなると難しいですか」。大下税理士「それなりに難しいです。慣れた税理士でないとリスクが高い分野だと思います。一般的に、法人化と呼ばれるのは(1)管理型、(2)転貸型、(3)所有型の3種類があるといわれていますが、最近流行なのは(3)所有型です」。石川部長「要は個人から法人へ名義を変えるということですか」。大下税理士「そうです。しかし、個人から法人へ名義を変えるのは、法形式的には個人から法人への売却で実行します。そのため、代々のオーナー地主様の場合、土地を売却すると多額の譲渡税が生じるため、建物のみを法人化することが多くなります」。石川部長「そもそも不動産法人化ってどんなメリットがあるんですか」。大下税理士「簡単に言えば、節税です。所得税などの 税率が高い方は手残りが少なくて困っています。法人化することにより手残りを多くすることを考えます。それに、法人の方が生命保険の損金化や退職金準備などのメリットも享受できるため、大変喜ばれます。一方、デメリットもあります。高収益の建物を法人化しなければ意味がありませんので、地貸しで高収益の場合には検討しづらいと思います。また、借入金が残っていることが通常ですので、その場合には金融機関との交渉も必要になり、難易度が高くなります。総合的に検討を重ねて実行すべきか判断する必要があります」。石川部長「わかりました。実行を検討する際にはまた相談させてください。」

登場する人物、団体は全て架空です。(毎月第二週に掲載します。)

不動産の法人化って難しい

解説

経験からすると、実際に相談にみえるお客様10人のうち、即座に実行をお勧めできるのは2人くらいです。検討する事項が非常に多いため、法人化の実績が多数ある税理士へ確認されることをお勧めします。