第10話「中小管理会社の相続ビジネス入門」

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第10話

 相続全般から相続税の全体像まで分かってきた石川部長。お客様のほとんどは収益不動産を所有しているが、ほぼ間違いな<紐付きなのが金融機関からの借入金。キャッシュで購入するにしては大きな買い物で、レバレッジを効かせることを考えれば間違いな< 借入金での購入となるはずだ。相続税は積極(プラス)財産から消極(マイナス)財産を控除した純財産に対して課税されているが、消極財産の代表例が借入金というのは周知の事実だ。つまり、「借入金があると相続税が減りますよ」という訳。お客様からこんな相談を受けるようになった石川部長。「借入金を返したら相続税対策にならないでしょ。であれば、お金に余裕があっても返済できないな。どうにかならない」。返答できず大下税理士に確認することにした。大下税理士「その質間、間違ってますよ。借入金を繰上げ返済しても相続税は特に何も変わりません。預金100万円で借入金100万円を返済しても、返済前後ではどちらもプラスマイナスゼロですから。返済すると金利負担が小さくなるのがメリットですが、その分、手許資金がな<なってしまうため、何かあった場合には困る場面が出ます。現状は低金利だから返済せずに借りておく方が賢明かもしれません」。石川部長「確かにその通りですね。目からウロコです」。大下税理士「それに、相続税対策も兼ねて金融機関から融資を受ける場合には、ほぼ間違いなく次世代の息子さんなどを保証人に入れるはずです。例えば、長男が保証人に入っている収益物件については、相続発生時に長女がその物件を相続することを基本的に金融機関は想定していません。つまり、金融機関との交渉が必要になります。このあたりが相続の難しいところで、相続人間では誰が相続しても有効ですが、金融機関に対してそれが主張できるかは別問題です」。「この知識を不動産オーナーに周知徹底してきたいと思います」と意気込む石川部長だった。 登場する人物、団体は全て架空です。(毎月第二週に掲載します。)

借入金相続はおそろしい

解説

税理士先生も民法の感覚が抜けている部分になります。この点は実務でしっかりと金融機関対応で身に付けていくしかないですが、相続発生前後での借入金を誰が引き受けるか(債務引受)については今後注意が必要です。